永遠の恋人たるか2/2
高熱と震えで搬送された父は
二週間の入院期間を終えて、このほど退院した。退院の当日、お迎えが母一人では不安かと思い、付き添った。
病院のエレベーターで、年の頃
母より少し上の世代のご婦人と同じになった。
同じ階で降りる。
この時間帯に、同じ階で降りたということは、
この方も今日退院するご家族の方を迎えに来たのだろうか。
先へ降りたご婦人は、両手が空くようにリュックサックを背負っていた。母とnも、同じ考えでリュックサックである。退院の日は荷物が多いからだ。
…
時期的にどの病院も
入院患者への面会やお見舞いは、家族でも
一切認めていない。つまり入院すると、ずっと会えない。
母は父の居ない二週間、思いっきり羽を伸ばし、やりたい事を存分にやったのだそう(家の中で)ちょっとしたプチパラダイス、だったという。
…
廊下で待つこと数十分。
一人の看護師さんが、リュックサックのご婦人の所へ荷物の袋を持ってやって来た。
「お待たせしました。
これからご主人がいらっしゃいますので、もう少しお待ちくださいね。
何か伝えたいことあれば、伝言しますが?」
と言った。
ご婦人はすかさず、
「愛してます、って伝えてください…。」
…
母は、その日以来
どうしたら、こういう言葉が出てくるのだろう?と自問しているもよう…