8月
第一週
長男次男の小学生組の、夏休みの宿題がほぼ終わった。
後は大物の自由研究と読書感想文だけだ。
特に予定もないお盆中にこの二つを終わらせれば、夏休みの後半は
気分良く過ごせる。
一方、中学生の長女は宿題の二割程度しか終わっていなかった。
原因は、小学生と比べて宿題の量が多い&内容が難しい、などではなくて
計画性の問題が、大いに関係しているとおもう。
第二、三週
さながらイソップ童話の「アリとキリギリス」のキリギリスのような生活を、
夏休み前半に送っていた長女は、本腰を入れて宿題に取りかかり始めた。
n家では(長男次男が)騒々しくて、勉強に適さない環境であるため、
祖母の家へ行ってやることになった。
長年塾講師をしていたnの母は、ばぁばとしては孫に甘い面もあったが、
勉強に関しては、孫でも容赦はしなかった。
ビシバシばぁば先生のお陰で?長女は
次々と着々と宿題を終わらせていった。
「ははっ!どんなもんだい!」
キリギリス長女は、アリんこ長男次男に威張ってみせていたが
「どんな問題って、計画性の問題だがな。」
と母は毒づきたい。
美術のポスター制作と、税金の川柳と、オリンピック新聞の記事作成が、
まだ終わってないんですがね。
第四週
出社日だった、とある日
取り壊し作業が始まった団地の中を、いつものようにママチャリで通った。
敷地内のある地点にさしかかると、
気になる視線は、棟の最上階へと向く。
最後の住人は、解体工事が進む団地にまだ住んでいるのだろうか。
ベランダを見る。
…
洗濯物がない。物干し竿もない。
カーテンもなかった。窓は開け放たれていた。
とうとう引っ越されたことを、知った。
住人が最後まで住んでいた部屋のベランダ前には、鉄骨の足場が組まれていた。
住人の行方は、誰も知らない。
nの密かなミッションは、唐突に終わった。