ネジコレ
長男は小さい頃から工具類が好きだった。
おもちゃのトンカチや六角レンチやボルトなどを買い与えると、
一人でも飽きずに遊んでいた。
小学3年生になった今でも、工具類には心惹かれるようで
道端に落ちている錆びたクギや曲がったネジなどを、時々拾っては
むやみに集めている。
学区外から通っている長男には、下校時
同じ方角へ一緒に帰れるクラスメートが一人いた。
学区外に住んでいる彼も、どうやら工具類が好きらしい。
長い通学路の途中、二人で駐車場の隅っこにひみつの穴を作り、
それぞれが道端で見つけてきた、いろいろな大きさのネジやクギを入れて、
せっせとコレクションしているのだそう。
「最近、ひみつの穴がまんぱんになってきたんだよ。」と長男。
「ネジだけに、もうちょっとねじ込んでみたら?」とn。
「ああ、何とかやってみる。」
長男はn決死のオヤジギャグを華麗にスルーした。
「いつからコレクションしてるの?」
「うーん、去年の冬くらいかな。」
「なるほどね、ネジコレ2019冬から始まったのね。」とn。
「今はネジコレ2020夏なんだよ。」と長男。
…
学校から帰ってくると、額の汗で前髪はなびき
ランドセルの跡がTシャツの汗でくっきりと分かるくらいに、日中は
夏と変わらずに 暑い。
ですが
ファッションの世界では、今は秋なのです。