neillot’s diary

サラリーマンで三児の母の、はちゃめちゃ感あふれる日常

秋刀魚と根性

秋刀魚を買った。これは長男のリクエストである。

人間の好物に旬はなく、一年を通して好きなものは一定して好きであるゆえ、

二月のこの時期だとチョイスが季節外れとなるのであった。

 

 

秋刀魚四尾のそれぞれを二等分し、筒切りの八本をガスコンロの

魚焼きグリルに入れた。

 

途中で魚を裏返すため、グリルを開けたら、

八本あるはずなのに、一本足らない。

 

「あれ、頭部分のが一つない!」

 

しゃがんでグリル内を見た。

無い。

 

「おかしいなぁ?消えるはずないし…」

 

もしかして始めから八本入れてなかったのでは?まな板の上を見た。

やっぱり無かった。

 

なんのことはない。

グリルを開けて手前に引き出す時に、魚が網の上を滑って

グリル内の奥に落ちてしまったらしい。

 

しかしその時点ではそんな事実に気づくはずもなく、

無意識にグリルを閉めた。

 

「ん?なんか閉まらないぞ。なんか奥に詰まってるような…?」

 

はい、あなたが先ほどから探している秋刀魚が、グリルの奥で

ぺしゃんこになっていますよ。

 

「嫌な予感…。」


スマホのライトでグリル内を照らすと、奥の壁面に

もはや原型をとどめていない、潰れた秋刀魚を見つけたのであった。

 

「ひぃー!」

 

食べることは諦めた。しかし網から落ちた秋刀魚は速やかに救出せねばなるまい。

残り七本の裏面を焼く必要がある。

熱々グリルのどの側面にも触らないように手を伸ばすと、つぶれ魚には一向に届かなかった。

 

フライ返しを手に持つ。これで長さをかせぎ?グリルの奥まで手首を突っ込んだ。

 

熱い。

フライ返しで奥の壁面に押しつぶされた秋刀魚を剥がそうとした時に、グリルの天井に

右腕が触った。


 「あちっ!」


剥がす、回収する、剥がす、回収する、を繰り返していたら

右腕と右手首の複数箇所をやけどした。

 

根性は焼いておりませんので、どうぞ見間違えの無きよう。