厚手の皮2/2
熱々のグラタン皿を素手で掴み、両手の指をやけどした。
その昔、中学校の理科の授業で
熱さを感じる温点と、痛さを感じる痛点は、同じ感覚器で検出されることを習った。
痛点は、どの感覚器よりも広く散らばっているので
熱湯を触っても、ドライアイスを触っても、「痛い」と感じる。
皮膚に一番多く広がる痛点からの痛みをいち早く感じることで、あらゆる危険から
身を守っている、ということらしい。
グラタン皿を持ち上げた時、確かに痛かった。
しかし痛みを感じるまで2、3秒くらいかかった。脊髄反射としては、遅いのではないか。
つまり2秒ほどは、250度のお皿に触っていたことになる。
身体の危機(?)に直面しているというのに、nの反応は、鈍くないか?
もっと反射的に1秒で、「痛っ!」「パッ!」と手を離すはずでは。
で、勢いよく手を引っ込めた際に、ホワイトソースが飛び散るのでは。
なんならグラタン皿に、ひびでも入るのでは。
…
痛さを感じるnの痛点は
皆様と同じく広く分布しているが、どうも反応が鈍いらしい。
しかしながら
そんな人の、指の皮はちょっとぶ厚くできているらしい。
水膨れにもならなかった。