恐怖!背後から聞こえる女の人の声2/2
緊急地震速報を耳にしているような、えもゆわれぬ怖さを感じながら
その日は、コンロからの電子音を鳴るがままにして
一晩を過ごすしかなかった。
新品の電池と取り替えても鳴り止まないことに気づいた時は、
ガスコンロ会社の営業時間が過ぎていたからだ。
その晩。寝静まった部屋に響く
キッチンからの電子音と、ぶきみな女の人の声―
夜中に2度、目が覚めた。
翌日。仕事はさておき
朝一にガスコンロ会社へ問い合わせてみた。
保留音を聴きながら、待つこと数分。ついにつながった。
冒頭に、このようなアナウンスが流れた。
―お客様対応、品質向上のため、この会話は録音させていただきます。
「すみません。コンロから間欠的に鳴る、電子音と人の声を止めたいのですが
その方法を教えてください。」
「あーお客様の品番ですと、しゃべらないタイプのガスコンロですね。」
「え、えぇ…?」
「もしかしたら、ガスコンロの付近の天井や壁についている火災報知器が、
鳴っていませんでしょうか…?」
…
天井に目をやると、報知器の赤いランプが点滅していた。
これだぁ!!
昨日から鳴り続けていた電子音と人の声は、
ガスコンロからではなくて、火災報知器から であった。
「すっ、すみません!!ガスコンロだと思ってて…!!
お騒がせしました。
あぁ、音源が分からないなんて…ゴニョゴニョ…(お恥ずかしい…ゴニョゴニョ)」
「大丈夫ですよ。ガスコンロからだと勘違いされて、お問い合わせされる方は多いですから。」
電話口の方が励ましてくれたが、音源を間違える人なんて、多くはないはずだ。
…
お客様対応、品質向上のため
この会話は、ばっちり録音されました。