謎のお屋敷2/3
昨日からの続きです。
遠巻きに眺めるだけでは、謎はいっこうに解明しない。
ある日の妊婦健診帰りに
謎のお屋敷に接近してみることにした。
正面玄関の前に立つ。
表札は無かった。郵便受けも無かった。
住人の車やバイク、自転車などの乗り物も
いっさい見当たらなかった。
門のドアノブに
「お車は右手裏口へおまわり下さい」と書かれたプラカードが掛かっていた。
家全体は、手入れされている。
が、人が住んでいる気配がしない。生活が営まれている感じがしないのである。
ほどなくして
次男が誕生し、育児休業を終えて仕事に復帰し
日々の忙しい子育てと仕事に追われていくうちに、
その道を通ることも、ぶらぶらと散歩することもなくなった。
お屋敷の存在も、次第に忘れていった。