謎のお屋敷3/3
先日、久しぶりに謎のお屋敷の前を通る機会があった。
この秋から始めた長女の習い事の付き添いで、である。
「そろそろこの辺りに来ると、見えてくるんだったよな。」
しかしお屋敷は、
いつまでたっても見えてこなかった。
純和風の邸宅は、跡形もなく消えていた。
笹の葉も竹の外壁も、何もかもない。
さら地になっていたのだった。
今まですっかり忘れ去っていたのに、なんだか悲しかった。
後になって知ったが
そのお屋敷は、撮影スタジオだった。
同じく習い事の付き添いで来ていたママさんが教えてくれた。
彼女曰く
この付近には、撮影用の家屋が点在しているという。
この地に住み、今秋で10年が経つ。
地元を知るには
10年という月日は、まだまだ足りないようだ。