失せ物1/3
長男が
お気に入りのひよこの指人形を無くした。
出かける前「ひよこさんも持っていっていい?」と聞いてきた。
近所の買い物と、公園で軽く遊んで帰るだけの外出だったので
nはOKした。
帰って来た玄関の前で、長男気付く。
「ひよこさん、いない!」
速攻で来た道を戻った。
どこで落としたのか分からない。
道路、道端の植え込み、公園、雑草の中、駐車場、
怪しいと思われる所を記憶を頼りに
くまなく探す。
寄り道しいしい帰ったことを、恨めしく思った。
さらに
お気に入りのぬいぐるみを持っていって良いと許可した
自分を後悔した。
親として諌めるべきであったろう。
「ぼくが持っていく、なんて言ったからだ…。」
後悔は長男も同様で、がっくりとうなだれている。
末っ子・次男が疲れてきて限界になったので
捜査はいったん切り上げて、帰宅した。
数分後、
地面を血眼になって探す母の姿があった。
(怪しい。)
運悪く雨が降ってきた。構わず捜査は続行した。
(さらに怪しい。)
結局
落としたと思われる道を四往復した。
ひよこさんは、見つからなかった。