本屋さんとの約束3/3
そのお店にnの探している本は無かった。
何も買わずに出るのが済まない気がして、テキストを買った。
「このテキスト売れないから、発注を止めようと思ってたけれど中止しますね。」
「はぁ…。」
この本屋さんでは
見知らぬ客でも、一見さんとはみなされないらしい。
そうだろう。
奥まった住宅街に店を構えているならば、買いに来る人も
大半は地元の人であろう。
地元人のnは
最近までその存在を知らなかったけれど。
「じゃあ…次回もこちらに買いに来ます。」
来月号のテキストも、そこで買うことを
約束していた。
商売上手なおばあちゃん、細々としかし着実に
お客さんを掴んでいるようだった。