湿式より乾式に
会社を辞めることを
そろそろ皆さんにお知らせしなければならない。
社長さんに退職の意を伝える時よりも、
緊張する。
一番長く一緒に働いてきた同僚は、
nと同い年である。
夏に転職された先輩が
「会社を辞めるの」とランチで打ち明けた時
悲しみをこらえながら、努めて明るく聞いていた
彼女の横顔が忘れられない。
その夜、湯船に浸かりながら
今後、自分はどうするか?の脳内ミーティングを開いたという。
今度はnが、更なる追い討ちをかけるのだと思うと
心が重かった。
「長年勤めた会社だから、思い出も、思い入れもあろうが
お姉ちゃんが居なくても、これからも会社は回るし、かつても回っていたんだよ。
ということで、淡々と進めるのがいい。ウェットより、ドライで。」
と妹がアドバイスをくれた。
彼女は昨秋に転職をしたばかり。
ドライ方式でたんたんと事を片付けていったのだという。
会社に対してはドライになれそうですが、
一緒に働いてきた仲間に対しては、
ドライになれそうにありません。