ライナスくんについて2/2
お気に入りの毛布があるという。
彼が上京する時に実家から持ってきて、冬になると今もかぶっているという。
お気に入りのタオル地のぬいぐるみがあるという。
学生時代に留学した際、トランクに詰めて持っていったという。
ベッドのそばに置いて、一緒に寝ていたという。
お気に入りのタオルケットがあるという。
かれこれ30年以上使っているという。くるまると安心するという。
いずれもnの友人の話だ。皆、いい歳の大人である。
当時は
やさしい風合いの毛布、
やさしい手触りのぬいぐるみ、
やさしい匂いのタオルケット、
だったけれども多くの年月が過ぎ、
きびしい風合いの毛布、
ゴワゴワな手触りのぬいぐるみ、
いい匂いの消失したタオルケットに
なってしまったろう。
子どもの頃に強い愛着を感じたものを、大人になってからも持ち続ける。
この飽きない持続性、ブレない精神は、
母親を求めてやまない、哺乳類の定め のようなものではないかとおもう。
心の安定と安らぎを、”やわらかな肌触りと匂いの何か” に求めることは、
はたして病なのだろうか。