のし袋と昔話3/5
旦那さんの話はこうだった。
その日、旦那さんは早めに家を出て仕事をしていた。
すると、会社のインターフォンを
荒々しく鳴らす音がする。
玄関へ出向くと、とても焦った様子のご婦人が立っていた。
「すみません。さっきこちらの会社の屋根に、うちのオウムが止まっていたのです。
ちょっと屋根の方を探してもいいですか?」
どうぞ、と旦那さんは招き入れた。
「うちで飼っているオウムが今朝、窓から逃げてしまって。」
屋根の方を探したが、オウムはいなかった。
そのご婦人はオウムをヒナから育てて、15年以上も
飼っているという。
ご婦人のご主人も、通勤途中でとんぼ返りして
二手に分かれて付近を捜しているらしかった。
ご婦人は
もし見かけたら一報ください、と連絡先を残して
会社を後にされた。