neillot’s diary

サラリーマンで三児の母の、はちゃめちゃ感あふれる日常

百人一首5/5

たまたま
旦那さんの蔵書にあった一冊を読んでいたら

百人一首に収められている、清少納言の和歌に出くわした。


山本 淳子著 「源氏物語の時代」を参考に
和歌が誕生するまでの背景を
追ってみる。


その歌は
藤原行成という人物とのやりとりの中で生まれた。


行成さんは側近。
当時の帝である一条天皇に仕えていた。

清少納言さんは女房。
一条天皇の妻、定子に仕えていた。


行成さんと清少納言さんは
一条天皇を介して、宮中に勤める側近と女房という関係であった。


とある夜。
行成さんは清少納言さんとおしゃべりをしていたのですが
都合で真夜中に帰っていった。


翌朝、彼は詫び状をよこす。
「昨夜は鶏の声に急き立てられて失礼しました。」


漢文の教養深い清少納言さんは、中国の史記を思い出す。

「夜の鶏と言えば、孟嘗君 もうしょうくん ね。」


すると行成さんは、こう返した。

「たしかに孟嘗君が秦を脱出するとき、鶏の鳴き声を真似て
函谷関 かんこくかん の門を開けさせましたね。

しかし
昨夜の関所は、函谷関ではありません。
あなたと私の、関所、です。」


そんな冗談を受けて返した和歌が、

現在の百人一首に載っている
前述の歌である。



夜をこめて
鶏のそら音は はかると
よに逢坂の 関は許さじ



夜更けに鶏の鳴き真似をしてみせても
私の恋の関所は、ガードが固いわよ。




25年来の謎が解けた。


平々凡々に暮らす当時のティーンに、

そこまでの深読みはできまい。