neillot’s diary

サラリーマンで三児の母の、はちゃめちゃ感あふれる日常

7月

第一週

長男次男の通う小学校で定期的に行われている、読み聞かせ の活動にnも参加している。

朝の数十分

有志の保護者が児童たちに絵本を読む、という活動だ。

 

転職した後コロナになり、ほぼ完全テレワークとなったので、nは定期参加が可能になった。

(前職の時、半休を使ったのにいつも通りに出社して、読み聞かせをすっぽかしたこともありました…)

 

さて。今月は七夕の日に、読み聞かせ会があった。

会の後には活動員たちの間で、今日読んだ絵本の概要を

LINEで共有する。

 

七夕の絵本を読んだ保護者の方が、こんな概要を書かれていた。

 

「牛飼いひこ星のダメ男っぷりに、悲哀を感じます。」

 

あれ…仕事しなくなったのは、おり姫もじゃなかったっけ…?

二人グルで遊び惚けてたんじゃ、なかったっけ…?

 

七夕物語には、派生した話が沢山あるようで。

その方は、ダメ男バージョンのひこ星、を選んで読まれたそうです。

その方がLINEに概要を上げた後、しばらく活発にトークが飛び交いました。

 

「あらすじ読みましたが、ひこ星ってダメ男の典型ですね!」

「やっぱりダメ男ですね、ひこ星は。」

 

ちなみにひこ星は、おり姫の彼氏 ではなく 夫 であります。

 

スケープゴートの、ひこ星…。

 

 

 

第二週

長男がクイズを出題してきた。

 

「みなさんへ問題です。

世界で初めて宇ちゅうへ行って、“地球は青かった”と言った宇ちゅう飛行士は

誰でしょう…?」

 

中学生の長女は「ははーん、ロシアのあの人だね…」という顔でうなづいている。

小学2年生の次男は、うーん…とうつむいている。

考えているというか、困っている様子だ。

 

このクイズは、次男一人に向けて出されたものだ。

最近読んだ、宇宙のひみつ図鑑 で仕入れたとされる知識を

弟に見せつけたいという、年長者の優越感に浸りたい思惑が働いている。

 

「分かんない…。」次男が降参すると、長男はドヤ顔で答えを告げる。

 

「ユーリ・ガンガーリンでした!」

 

余計な音、入ってますが!

 

 

 

第三週

出勤の日があった。

チャリ通勤の途中に通る、取り壊しが決まったという緑豊かな団地がその後、どうなったか気になっていた。

 

ママチャリのギアを最大にして、道を急ぐ。

団地に続く道が見えると、スピードを落とす。


一人のおじいさんがたたずんでいた。視線が合うと目で軽く会釈された。

 

一瞬誰だろうと思ったが

緑色の作業服は着ていないものの、あの清掃員の方だった。

先日「自由に植栽を持っていっていいよ。」と教えてくれた人。

 

今朝は、一服しにこの団地へ来たのだという。


敷地内では、工事用のついたて?が組み立てられて、棟を取り囲んでいた。

美しかった芝生の上には、重機のクローラーキャタピラー)が通った二重の線が

出来ていた。


仮設ゴミ捨て場の横の広場では、ヘルメット被った工事の方たちが集まって、

朝の点呼や作業の確認をしていた。

 

数日通らないうちに

解体工事は、予定通り着々と始まっていた。

 

 

 

第四週

おじいさんが煙草をはさんた指を、ある一つの棟の方に向けた。

 

「あそこにまだ引っ越ししていない家があるんだけど、見えるかい?この4階。」

 

タオルと数枚の下着が干してあった。

 

「…ご存知の方なんですか?」

 

「ああ知ってるよ、直接話したことはないけどよ。

団地が完成した時、一番に入居してきた人でね、俺と同じ年寄りのじいさんよ。

絶対に動かないって言い張ってるんだってさ。」

 

「…工事、もう始まってますよね…。」

 

「ああ、分かっとる。

長年住んだ住まいが無くなっちまうのが、許せないんだろうなぁ。」

 

元清掃員のおじいさんは、

意地でも動かないという住人が気がかりで

様子を見に来たのではないか、とおもった。

 

50年以上住み続けた住まいへの愛着も、

50年以上携わってきた清掃管理という仕事への誇りと思い入れも、


50年という人生すらまだ生きていないnには、実感を持って想像できなかった。

 

 

元清掃員のおじいさんは、

壊されゆく団地と住み続ける住人の様子を、

明日も確認しに行くだろう。