おやじの淡い恋2/4
まもなくして、噂の療養士さんが病室へやってきた。
「〇〇さん(父の名)、遅くなりました。
今日もリハビリ、一緒にやりましょうね~。」
見舞い人のnに気づくと
「あっ、こんにちは。担当の療養士の〇です。」と爽やかに挨拶してくれた。
いつも父がお世話になっております…とお礼を言う。
nが言い終わるが早いか父は、
「じゃ、ここでもういいよ。ハイ、ありがと。またね。」
いち早く帰ってくれ、という雰囲気を前面に押し出してきた。
リハビリ室に来てくれるな、の意でもあろう。
手で制止するポーズをとっている。
父は療養士の〇さんに付き添われながら、嬉しそうに病室を後にし、
廊下でおしゃべりに花を咲かせていた。
「中国は大変だよねぇ。。。
「そうなんですよー。でも去年の冬に帰れたので。」
「お~それは良かったね。ご両親はお元気だったかな。」
「ええ。ウィルスが大流行しなくても、いつも私のことを心配していますよ~。
フフフフ。」
「そうか、アハハハハ。」
新型コロナウィルスと帰省の話で盛り上がっていた。
二人の後ろから、のろのろとついていくn。
お気に入りの女性療養士さんと、二人っきりになりたいんですよね…。
お邪魔虫のnは、さっさと退散することにしました。