おやじの淡い恋1/4
仕事の合間を縫って、父のお見舞いに行く日が続く。
いつものように訪ねていくと、父は病室でパソコンを開いていた。
「資料を作っているんだよ。引継ぎのね。」
なんの引継ぎ資料なんだろう…。
ともかく、昨年末のような寝たきり状態から
少しずつ日常の動作ができるように回復してきて、ほっとしている。
しばらく世間話をした後、とある療養士さんの話をし始めた。
「中国出身の療養士さんがいるんだよ。四川省出身だって。」
へぇーそうなんだ。じゃあ、話も合うんじゃない?
父は中国、中国文化、が大好きである。
大好きであるから若いころ熱心に研究し、専門的知識を身につけ
大好きな中国に携われる職業に就いた。
「〇さんっていうんだけどね、とっても親切なんだよ~。」
生き生きとした口調で話す父。
「そろそろ(リハビリの)時間だから、もうすぐ来るんだよ。」
ウキウキ口調は止まらない。
療養士さんはきっと女性であろう、とおもった。