公園でスカウト1/3
肌寒さも和らぎ
屋外で楽器の練習をするには、いい季節になってきた。
仕事を前倒しして片付けた
とある天気の良い日、
いつもの広い公園で楽器を吹いていた。
すると、近い視野に人影が写った。
こちらを見ている?
不審者かな。
春になると現れ出すというし、ここは公園…
不審者が出没するには格好の場所である。
不審者は
立ち止まったまま、こちらを見続けている。
これはnの自意識過剰なんかではない。
明らかにnを見ているに違いなかった。
練習する手を止めた。
意を決して
顔を楽譜からその人に向けた。
「お上手ですね。楽団か何かの練習曲を吹かれているんですか?」
首にタオルを巻き、
ランニングウェアを着た男性が
微笑んでこちらを見ていた。