百人一首1/5
百人一首。
中学の冬休みに
宿題でガツンと出された様に思う。
クラスのみんなは
「百首なんて、多すぎ…!」と不満をもらしたと思う。
「一日10首覚えれば、10日で終わります。
冬休み中にマスターできますよ。」
担任の先生は
日数を掛け算で示してから、こう付け加えたと記憶している。
「年明けの三学期は、百人一首大会をやりますよ!
優勝した班には…なんと。
先生のポケットマネーから豪華な粗品をプレゼントしちゃいます!!」
当時中学生の私たちには、“豪華な粗品” がいったい何を意味するかも分からず
沸き立った。
「豪華なそしな、だって~!何だろ~?」
「先生、学年主任だからさ、お金あるよ。
たぶんリッチな賞品じゃないか?」
といった会話が交わされたかも知れない。
先生の言葉巧みな誘導と
生徒たちの都合のよい解釈で、
私たちはせっせと百首を覚えたのでした。
疑うことを知らないティーンネージャーは、
素直に課題に取り組み
柔らかい頭には
聞き慣れない古語でも、すらすらと百首
入っていった。
およそ二十五年後―
百人一首で遊ぶ機会があった。
普段から和歌に親しんでいないnは
ほとんど忘れていた。
しかし。
やると思い出す。
ここが、大人げなく燃えるポイント。
「もう一回、やろう!」