常務に問う 「黒のトロンボーン」4/5
U常務にささやいてからというもの
どこからともなく
「U常務は、新人のnさんを気に入っている?」
という噂が立ちました。
噂は、もちろんnの耳にも入ります。
当時は
初めて覚える業務に早く慣れようと、毎日精一杯だったので
自ら気付く余裕はありませんでしたが
社内でのプチ変化には、気付いていました。
とつぜん席替えが行われ、nの座席はU常務の前になる。
しかも背中を向けて座る。
常務宛に届いた高級なお菓子を、こっそりnだけにくれる。
(常務は大の甘党)。
リフレッシュルームにある冷蔵庫の飲み物は、
好きなもを、好きなときに飲んでいいよ
とわざわざ言いに来る。
胡蝶蘭を「持ってっていいよ。」と勧めてくる。
その時のnの状況で、マイナスの方向に実行力がある方なら
すかさずやると思います
身辺調査 と ゆすり を…。
U常務は
nを気に入っていたのではありません。
nからこう言われることを、恐れていたのです。
「黒のトロンボーン に
お心あたりはございませんか、U常務?」