医院難民
子どもたちの予防接種のみに通っていた医院があった。
待ち時間が少なく、重宝していた。
今夏に次男の予防接種の時期が来た。
いつものように、その医院に予約の電話をした。
ところが、数回かけても電話は一向につながらなかった。
診療時間内なのに、おかしいなぁ…。
今月に入って、再度予約の電話をかけてみたら
「おかけになった電話番号は、現在使われておりません…」のアナウンスが流れた。
どういうことだろう…あやしいな…。
そして先の三連休、真相を突き止めるべく
その医院に出向いてみた。
入り口のドアにはカーテンが下ろされていた。扉は閉まっている。
そこに張り紙を見つけた。
「院長の体調不良のため、7月1日を以ちまして閉院いたします。
長い間どうもありがとうございました。」
…そっか…やっぱり…。
入り口にはもう一人、女性がいた。
nと同じく、真相究明のために来た方のようだった。
張り紙を読んでいる。
「そうなのね…そうだと思ったのよ、私は。」
nに聞こえるくらいの大きな声で、独り言を言った。
こちらを向いている。
nは残念顔を作って答えた。
その女性はさらにnに何か言いたそうにしていたが、
nのスマホ(音大きめ)が鳴ったので、タイミングを逸したようだった。
その女性はケータイを取り出し、
旦那さんか息子さんと思しき人に連絡していた。
「やっぱり潰れていたわよ~。電話もずっとつながらなかったし。
だから〇〇病院で診てもらいましょうよ、家からも近いし。
ね。予約は私が入れておくから。」
その女性は、次にかかるべき近所の病院をすでに探していたようだった。
このように元患者さんは
遅かれ早かれ、他院へと流れていく。
nも早めに
予防接種の病院を、新たに探さなくてはならない。