わがままな人間2/2
旦那さんの実家にウミガメの絵本がある。
ウミガメのライフサイクルを紹介すると共に、
環境問題を静かに提示している絵本でもあった。
子どもたちは帰省の度に「これ読んで。」と持ってくるので
nは素話ができる位にそらんじることができる。
その絵本に、こんなくだりがある。
「生まれたばかりの赤ちゃんガメは
明るい海の方を目指して砂浜を歩いていきますが
中には、自動販売機の明かりを海と間違えて、たどり着けない赤ちゃんガメもいます。」
「人間が捨てたプラスチックやペットボトルを
ウミガメの子どもが、エサであるクラゲと間違えて飲み込んでしまいます。」
引き出物は、チャリティーギフトの
ウミガメの保護にしよう。
nの良心を、nの邪心が制止する。
いや、実用的なものがいいよ。
枕。欲しいんじゃないの?
子どもたち、もうそろそろ一緒の枕で寝るのは限界じゃない?
ね。だから枕にすれば?
自分たちだけの種族が、便利で快適だと感じるものを追求し、
いつしか他の生き物たちたとの共存を忘れ、
動植物ピラミッドの頂点に君臨すると勘違いした人間は、
今こそ、ウミガメを保護する
チャリティーギフトを選ぶべきである。
ハガキの投函から二週間後。
子どもたちが、それぞれの枕で眠る姿を
満足げに眺めるnの姿があった。