歳によって変わる視点
小児病院での待ち時間、本棚に並べてある絵本を何
気なく眺めていた。
小学校高学年の長女が読むには、ちょっと簡単かな~。
とある一冊に、nは吸い寄せられた。
この本、知ってる!
表表紙の絵に見覚えがあった。
夏休みに何回も読んだ記憶がある。
三度の出産と子育てのお陰で、
自分が子どもの頃に読んだ懐かしい絵本に
本屋で、お友達の家で、児童館で、耳鼻科の待合室で、
いろいろな所で再会してきたが
この本だけは、まだ出会っていなかったようだ。
立ち読みする。
ほとんどひらがなで書かれたその児童書には
子どもの読み物を超える、深い味わいがあった。
主人公こぎつねくんの、
なんと老成していることだろう。。。
最後の最後で手に入らなかったバケツを
「もういいんだ。」と言い切る、潔さ。
自分の思う通りにならない事態や結果が訪れると
子供は
泣いたり、だだをこねたり、くずったり、落ち込んだりする。
まるでこの世の終わりであるかのように。
もう少し大きくなれば、
攻撃したり、負け惜しみを言ったりもするだろう。
大人はどうか…
現れ方はれ違うにせよ
心の動きは、子どもとさして変わらない。
絵本は
簡単な表現の中に、深い味わいが隠されている。
子どもの絵本は、
文字の大きさや絵の多さ、使われている言葉の難しさや、お話の設定などで、
読まれるべき年齢が設定される。
対象年齢を超えた人が読んでも、何ら差支えはない。
nはその絵本を、長女に勧めた。