嘆き悲しむ人と歌を詠む人2/3
nの母は言う。
「ご飯を食べてもさ…何を食べたか、全然覚えていないんだよね。」
…さっき、素うどんでも作って食べようか、って言ってましたけど?
「食べたものが、どこへ消えたか分からないんだよね。」
…いつも通りに、胃袋に消えていってますよ。
何をするにも、力が沸かないようだ。
意気消沈、戦意喪失である。
そんな母とは対照的に
父はここ数日、創作活動に励んでいる。
いく晩も眠らずに考えて、
くつかむり歌を作ったそうな。
父曰はく
心が大きく揺さぶられることがあると
創作意欲がふつふつと沸いてくるらしい。
悲しみにどう応じ、対処するかは人それぞれである。
父はそれを昇華させる方法を、知っているようである。