旦那さまの隠れた才能2/3
その男の子のパパは、
折り紙を半分に折って長方形にし、
何やらちょきちょきと複雑な線を切り始めた。
鉛筆で下書きもしていないのに、
細かい部分も、ほそい箇所も、器用にすいすいと切り進めている。
そばで見ている三人の、
何ができるのかな?という期待が
膨らみに膨らんだ頃、ぱっと折り紙を広げた。
水色のクワガタがあらわれた。
「うわ~!」とその男の子。
パパの切り紙がすっかり気に入った男の子は、
色んな角度から切り紙のカブトムシを眺めていた。
「すごい…パパ!」
休み時間が終わると、
大切そうに
切り紙のカブトムシを筆箱にしまった。
「ここに入れようっと。」