neillot’s diary

サラリーマンで三児の母の、はちゃめちゃ感あふれる日常

看護師であったなら…1/3

通勤電車の中で、急病人が出ることは
珍しくはない。

こういったアナウンスをたまに耳にする。
「車内に急病人が出たため、只今10分遅れで運転しております…云々。」


その朝も、いつも通りの電車であった。



急病人が出るまでは。


とある男性、座席を立つも、そこから動かない。
やがてふらふらし始めた。

nの隣にいた女性が、いち早く異変に気付く。
「あの、大丈夫ですか?降りられますか、座られますか?」

「…ええ…大丈夫です。」
その男性は何とか歩き出し、出口付近の吊革につかまった。


しばらくして
ゆるやかに崩れ落ちた。
nは振り返って男性の上半身を支え、後頭部を守った。


大変だ、人が倒れた!


「大丈夫ですか?」
nは声をかけて反応を見る。
意識はある。呼吸もある。が、話は出来ない。


ふと、非常時に押す
赤い緊急ボタンの存在を思い出した。

「すみません。どこかの車両に緊急を知らせるボタンがあります。どなたか押してください。」


そばにいた男性が促すように言う、
「次の駅で降りましょう。」


次の駅に着くと、
駅員さんが二人で待ち構えていた。

「こちらの方ですね?」


先ほど緊急ボタンを押してくれた方が、状況を説明してくれていたのだった。


「はい。車内でご気分が悪くなり倒れました。」