えんずいの生徒さん4/6
M君との個人授業が終了し、数年が経ったある日のこと。
いつものように、nの母は
スポーツジムに行く道を急いでいた。
点滅する信号を、フルスピードの自転車で
なんとか渡り切る。
ほっとしていると、
背後のど派手なトラックの運転手から
クラクションを鳴らされた。
一回ではない。
しつこく鳴らしている。やがて
側道に派手派手トラックを寄せて、接近してきたではないか。
母は身構える。
「信号無視はしてないけれど、交通ルールを正しく守ったとは言えない…。」
運転手は窓を開ける。
身を乗り出し、両腕を伸ばしながら何かを叫んでいる。
注意される…と母は覚悟した。