童謡と、涙と、おばあさんと
いまどきの子どもは
昔の童謡なんて歌わないのでしょうか。
童謡。
小学校で繰り返し歌いました。nが二年生の時です。
学期途中で担任の先生が変わりました。
新しく来た先生は、音楽の授業で童謡を好んで歌いました。
清く正しい、文部省唱歌でした。
当時のnは、
「もうんぶしょうしょうか、暗い」と思いました。
ぜんぜんワクワクしない、と思いました。
30年後の今
当時抱いた感想を、慎んで撤回したいと思います。
「ふるさと」も「もみじ」も「あかとんぼ」も、古き良き日本が偲ばれる
美しい歌ではありませんか。
歌詞を読むと
のどかな日本の田園風景が浮びます。
穏やかな情景が懐かしく感じられるにつけ、なぜか
涙が出てきそうになるのも不思議です。
叙情的なものに、心を動かされる歳に達したのでしょうか。
nがすっり白髪になったら
「ダメね…歳をとると涙腺がゆるくなるの。」とか言って
若い人の前で、しわしわの手で目頭を抑えながら
茶目っ気たっぷりに笑ってみせる が夢だったのですが、
涙腺のゆるまる歳が、あんがい早くやってきました。