neillot’s diary

サラリーマンで三児の母の、はちゃめちゃ感あふれる日常

時差、三週間 2/3

旦那さんはその晩、

お茶目なマスターのいる居酒屋さんに

十数年ぶりにふらっと立ち寄った。

 

久しぶりすぎてもマスターはちゃんと、いちお客さん

を覚えていてくれたという。

 

飲んでいても、プロフェッショナルである。

 

飲みながら、マスターには珍しく

淡々と、さめざめと、

 

“奥さんと子ども達が、家を出て行った話”をしたのだそう。

 

奥様は着々と別居の準備を進めていたそうな。

身辺を整理されてからの計画的な行動であった。

中学生と高校生のお子さん達も一緒である。

中高生なら、もう立派に自分の意見を持ち、自分で考えて行動できる歳だ。

 

父親に見切りをつけ、

保護者として母親を選択した、ということになる。

 

ここまでは

悲しいけれど、時々耳にするお話。

 

しかし

話の続きは、あまり耳にしたことがない。

 

 「わたし、奥様と子ども達が出て行ったことに気付かなかったのよ。」

 

特にいつもと変わらない日常であったという。

 

奥様達が出て行かれてしばらく経った頃

ふと「最近、家の人たちを見ないな。」と思ったらしい。

 

すでに三週間が過ぎていた。

 

 

旦那さんは絶句した。

「三週間以上って…!そんなこと、あるのか?!」

 

 驚きを隠せない表情でnに語った。

 

「マスターは家に、ほとんど居なかったんだろう。だから重大なことに、気付けなかったんだ。」

「三週間いなくても普段と変わらないなら、もしや一生いなくても平気なんじゃないか。」

 

旦那さんには珍しく

思い込みの想像を巡らし、乱暴過ぎる結論付けをしていた。

 

 

仕事人としては、まことにお茶目で愉快なマスターでも

家庭人としては、まことに駄目で不愉快な夫&父だったのかも知れません。