neillot’s diary

サラリーマンで三児の母の、はちゃめちゃ感あふれる日常

心残りなパン屋さん

週末
長女の習い事の付き添いで、広い体育館に行った。


早速リハーサルに入る長女の一行は、コーチに率いられて
体育館へと消えていった。

付き添いの親たちは、残される。

さて。練習が終わるまでの時間、何をしよう??

普段は喉から手が出るほど欲しい
「一人時間。」
いざ一人になれる時間ができると、何をしていいのか戸惑う。


いちおう
待ち時間に読む文庫本は、持ってきた。
が、お昼のお弁当を持って来るのを忘れた。

子どものお弁当を作ることで頭がいっぱいで
自分の分なんて、念頭に無かった。


日常のマイナーなしくじりを、
私以外にもしでかした親御さんがいたようで

「じゃあ、一緒にお昼を買いにいきましょう。」となった。


その方も
三人のお子さんがいらっしゃるママであった。

三人育児のあるある話で盛り上がりながら、最寄りのコンビニ目指して
てくてく歩いてゆく。


広い体育館の敷地内は、やっぱり広い。


やっと着いたコンビニは、閉まっていた。


目的地を失った私たちは、
なおもおしゃべりをしながら目的不明に進む。


いつの間にか敷地内を出ていた。

すると目の前に素敵なパン屋さんが飛び込んできた。

「美味しそうなパン屋さん。ここで買っていきましょうかね!」


実際にそのパン屋さんのパンは、美味しかった。


「雰囲気もよく美味しいお店、私たちの住む地域には見かけないよね。」
「ほんと、土地柄おしゃれなお店が多い。偶然見つけてお得な気分だね。」


「家族に買っていけばよかった。」
「ね。私も一瞬、食パンを一斤買おうと思ったけど、電車で帰ることを考えて
やめちゃった。」

「次来ることなんて、多分無いよね…。」
「うん、おそらくは…。」


名も知らないパン屋さんに偶然入った、いちげんさん二人は
さすがに主婦。

自分たちの昼の分だけ、パンを買ったことに
ちょっぴり後悔した。



それから随分と経ったある日。
ネットで映画のレビューを見ていた。


とあるレビュー写真の一枚に、見覚えのある店が写っていた。

どこかで見たことがあるパン屋さんだぞ。


「あ。」


心残りだった、あの素敵なパン屋さんだった。




主演女優や主演男優が好き、という正当な理由ではなく

撮影場所の一つの
「あのパン屋さんが気になって」という理由も、

映画を見る立派な動機になり得えます。