盗み読み とは言わないで…
昔の上司、T編集長の思い出。
出版社には、毎日のように
書籍化希望の飛び込み原稿が送られてきます。
飛び込み原稿は
手が空いた誰かが適宜見る、という形をとっていましたが
手が空くことなど皆無な
編集員のみなさん。
次から次へと送られてくる原稿は、うずたかい山を
作ってゆくのでした。
そんな中、
T編集長は忙しい合間を縫って
定期的に飛び込み原稿を読まれていました。
雑用係だったnは
不採用だった方への返送をお手伝いしていました。
「原稿と一緒に、これも同封して下さい。」
作者の方へ、その都度
お手紙を添えていらっしゃいました。
原稿を丁寧に読んだことがうかがえるお手紙で、二度と同じ文を
見たことがありませんでした。
そうです
nは毎回T編集長のお手紙を、読んでいました。
書き手を励ます手紙の結びは、
未来の作家の誕生が約束されている。