伝い歩きとヘラクレイトスにおける一考察
妹から隕石をもらう。それは巨大な巨大な…。
ではなく。
隕石のかけら、が入ったキーホルダーを
旅行のお土産にもらった。
なぜ隕石か?
隕石に付けらえた名前が、nのあだ名と同じだから、だそうな。
およそ十年前にも、妹は同じものをくれた。
引っ越し祝いのささやかなひと品として。
nは、毎日眺められるように洋服たんすの取っ手に掛けた。
毎朝、隕石を眺めてその日会社へ着ていく洋服を選んでいた。
引っ越しの一年後、長女が生まれた。
長女のつたい歩きが全盛の頃、隕石キーホルダーは壊れた。
たんすの取っ手をつかんだ際に、隕石のケースが破損し
どこかへ飛んでいってしまった。
赤ちゃんの握力は、思いのほかすさまじい。
(地球へ)飛んできて
(部屋のどこかへ)飛んでいく。
隕石も、流転する万物であることをまなぶ。