ハビエル、謎の笑み2/2

（昨日の続きです）
neillot.hatenablog.com

仕事復帰も間近な、３月のある日。

次男をエルゴに収めて、散歩に出た。
近所のコンビニに立ち寄る。

コンビニの入口に
ダンサー風の、煙草をくゆらす男性がいた。
遠くを見つめている。
どこかで会ったことのあるような。

「あっ…。」

彼の方が先に気がついた。

「あぁ！こんにちは。この辺なの？」
流暢な日本語である。

「は、はい。」
しどろもどろな日本語のｎの方が、よほど外国人っぽかった。

「最近朝会わないネ、と思ったら休んでいたのネ。」
エルゴの中の次男を見て、合点がいったようだ。

「いつ仕事に戻るの？」
「４月です。」

「じゃあまた会えるネ。」

ハビエルは
お役所勤めであること、
この付近にお住まいなこと、
ご両親もハビエルの近くにお住まいなこと、
親から「早く孫の顔が見たい」と言われプレッシャーをかけられていること、

などを話してくれました。
悲しい話題など何もなかったのに、どこか悲しげな表情であった。

現在。
仕事復帰してから、一年半ほどが経つ。

毎朝、昔と同じルートを通り出社する。

だが
ハビエルは、もうあの場所にはいない。